2014年8月21日木曜日

山本陽子の詩

10 遙かする、するするながら
 遙かする
純みめ、くるっく/くるっく/くるっくぱちり、とおとおみひらきとおり むく/ふくらみとおりながら、
わおみひらきとおり、くらっ/らっく/らっく/くらっく とおり、かいてん/りらっく/りらっく/りらっく 
ゆくゆく、とおりながら、あきすみの、ゆっ/ゆっ/ゆっ/ゆっ/ とおり、微っ、凝っ/まっ/
じろ きき すき//きえ/あおあおすきとおみ とおり//しじゅんとおとおひらり//むじゅうしむすろしか
つしすいし、まわりたち 芯がく すき/つむりうち/とおり//むしゅう かぎたのしみとおりながら
たくと/ちっく/ちっく すみ、とおり、くりっ/くりっ/くりっ\とみ」とおり、さっくる/さっく
ちっく/るちっく すみ、とおりながら
純みめ、きゅっく/きゅっく/きゅっく とおとおみ、とお、とおり、繊んじゅん/繊んく
さりさげなく/まばたきなく/とおり、たすっく/すっく/すっく、とお、とおりながら
すてっく、てっく、てっく
      澄み透おり明かりめぐり、透おり明かりめぐり澄み透おり
      透おりめぐり明かり澄みめぐり、めぐり澄み明かりぐりするながら、
  闇するおもざし、幕、開き、拠ち/ひかりおもざし幕開き拠ち

      響き、沈ずみ、さあっと吹き、抜けながら
  響き、ひくみ、ひくみ、ひくみ透おり渉り、吹く、透おり、/
 先がけ、叫び、しかける街々、とおくをわかち、しずみ、//透おり交いながら、/
  しずみ 、しずみ透おりひくみ、ひびき、ひくみ/つよみ透おりするながら、たえまなく
   透おり交わりするながら//ひびき透おり放ち、
     瞬たき、路おり乗するながら
夜として視護るごと、めばめき 帳ばり、ふた襞、はたはた ひらき 覆い/
       響き、/尽くし/吹く透おり/消え、
          しずみ、/ひくみ、/
ひびき透おり吹き
     ふためき、はたと墜として、はたり、/途断え、やみ、蔽い

   吹く、吹く、吹く、おとないかぜ透おり、おとなしかぜ渉り、
   吹く、やすらぎ//すずしやぎ
  りり、 りりり、りりり

    夜する/ふんわり、かげろう 薄すまめぎ/口開き拠ち、
夜切り、浮きたち、ひろひろ透おり、澄み透おり透おり明かりするながら、
 絹ぎ/すき/消え/さやとおり 澄まり静まり夜する口開切り拠ち

(以下割愛)
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よき・の・し

あらゆる建築をうちこわし、
いかなることばを
あとにのこすな、
すべてをもえつき、
もやしつくせ、
全けき白さをひっさらって
        死のとりでをひとこえよ
よきをひだにふくみのみ
さまざまなる夜をはらめ、
       死のこちらには死がひそみ
       種のうちには絞られた精気、
       濾過した夜に
       血清があった
やさしく勇気みついかりを決して決して
あとにおとすな、
よきのうちに苦しみがあり、
苦しみのあいだに割れ目あり、
黒き旋転に露しとろうと
決して それをそれとおもうな、
       死がすべてをけし去っていて
        全けき ものつれ去るとも
       飛ぶときには
      軽ろきがいた、
     残した埋(も)れ木は 焼ぽっくいで
    残した種は 鳥がついだ
あとをうがち、あなあしため
したたりおとした数千の、
透明な肉をすいつくし、
決して決して
環えるな
いのち白い霧吐きだすたび
星をえて 光りしない
血を亡脈に黒ずませ
こころのかたどり、雲をちぎり、
冷気ちらし、空を去らす

突破するたびに数千の綱が壁をつくった
       壁はからみ しとねつき
       頭のなかに 垂直がある
       光こごらせ 結晶がある
       にごいもてはなつ海をよび
       海泡のつぶて くだけちる

かつて死んだひとりの男がいて
おまえに置言(ごと)を手渡したら
その言葉を地に埋めよ
かつてすべてが刃向かっていて
おまえの仄を噴き出したら
汗に黒さびた金属(かなもの)を
ずきずきと踏み 風にはなて
     かつて死んだひとりの男がいて
     かってにしやがれと呟いたとき
     かってなき塩の結晶が造った
     朝の食卓にピケルスがあった
     かつてあったひとつの種が
     身をやくたねをもとめたとき
     木々は交れり火花散した
かつてある禁忌が衣、ばさりおとし
     かってなきことについて
     かくてかってにあるときには
魔術がひとをかなしばりする
いまは
いまわのきれなるかた、
僧侶の裸体に手濡れつくし、
身体にこれ小鐘がなると、
あけ方に骨きしむ勤行がおこる、
しぜんてきしぜんがしぜんするあいだは、
ひつぜんすべては、
おまえがうみだした卵ばかりだ

      あらゆる魔術を変身しつくし
      いかなるひとも
      あとにのこすな
      あらゆる大陸をわたりはなら
いかなるもの、いかなるあし、いかなる、は
をも 露に尽きさせ 冬にくだけ
あとに あとをのこすなら
おまえは死を譲り渡す、
あとにのこしてきたものが
無をおまえに譲り渡す、
廃跡は、いつ いかなるともにあった、
それは いつ いかなるときになかった、
それは いま だけにある
かつて現在というものがあるときに
廃墟は未来のものであり、
かつて現在というものがあったあいだ
過去は未来の廃墟であり、
かつてなかった過去の過去は
いま だけにある、
死のむこうにはなにがあるか
死のむこうにはなにがないか、
なくてあるものは
いま だけにあり
死は生のうちにひそみ、
無をおまえに譲り渡す
否、やさしく勇気あるいかりを決して
決してあとにおとし、あるものとなしてはいけない。
冷却したすべて
というものには
    死の数否ひそみ
    冷い凝乳に
    悪はうせる
朝の立売りには昨日という、
いまわの過去が巻きパンとともにやってきて
さらばということばをいくらかだけはかせ、
夜の冷気までに死はちかんしていた
決して決して
あとをおとすな、
あとに、
全けき白さをひっさらって
        死のとりでをのりこえよ
もし、ということばはらむなら、
決して決して
ならばとは
いうな、
もしをもしものものからやかれよ

(以下割愛)