2016年9月2日金曜日

琵琶湖周航の歌

(作詞:小口太郎、作曲:吉田千秋)
-------------------------------------
われは湖(うみ)の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧(さぎり)や さざなみの
志賀の都よ いざさらば
***
松は緑に 砂白き
雄松(おまつ)が里の 乙女子は
赤い椿の 森陰に
はかない恋に 泣くとかや
***
波のまにまに 漂えば
赤い泊火(とまりび) 懐かしみ
行方定めぬ 波枕
今日は今津か 長浜か
***
瑠璃(るり)の花園 珊瑚(さんご)の宮
古い伝えの 竹生島(ちくぶじま)
仏の御手(みて)に 抱(いだ)かれて
眠れ乙女子 やすらけく
***
矢の根は深く 埋(うず)もれて
夏草しげき 堀のあと
古城にひとり 佇(たたず)めば
比良(ひら)も伊吹も 夢のごと
***
西国十番 長命寺
汚(けが)れの現世(うつしよ) 遠く去りて
黄金(こがね)の波に いざ漕(こ)がん
語れ我が友 熱き心
-----------------------------------------

https://www.youtube.com/watch?v=uH3mtrS3xWo

郵便局  萩原朔太郎

郵便局といふものは、港や停車場やと同じく、人生の遠い旅情を思はすところの、悲しいのすたるぢやの存在である。局員はあわただしげにスタンプを捺し、人人は窓口に群がつてゐる。わけても貧しい女工の群(むれ)が、日給の貯金通帳を手にしながら、窓口に列をつくつて押し合ってゐる。或る人人は為替(かわせ)を組み入れ、或る人人は遠国への、かなしい電報を打たうとしてゐる。

 いつも急がしく、あわただしく、群衆によつてもまれてゐる、不思議な物悲しい郵便局よ。私はそこに来て手紙を書き、そこに来て人生の郷愁を見るのが好きだ。田舎の粗野な老婦が居て、側の人にたのみ、手紙の代筆を懇願してゐる。彼女の貧しい村の郷里で、孤独に暮してゐる娘の許(もと)へ、秋の袷(あわせ)や襦袢(じゆばん)やを、小包で送つたといふ通知である。

 郵便局! 私はその郷愁を見るのが好きだ。生活のさまざまな悲哀を抱きながら、そこの薄暗い壁の隅で、故郷への手紙を書いてゐる若い女よ! 鉛筆の心も折れ、文字も涙によごれて乱れてゐる。何をこの人生から、若い娘たちが苦しむだらう。我我もまた君等と同じく、絶望のすり切れた靴をはいて、生活(ライフ)の港港を漂泊してゐる。永遠に、永遠に、我我の家なき魂は凍えてゐるのだ。

 郵便局といふものは、港や停車場と同じやうに、人生の遠い旅情を思はすところの、魂の永遠ののすたるぢやだ。


(『若草』19293月号)

男はつらいよ

***

音楽:山本直純
作詞は 山田洋二 カナ?
-----------------------------
https://www.youtube.com/watch?v=qjd-4rrX1K8

『幸若』『敦盛』

------------------------------
思へばこの世は常の住み家にあらず

草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし

金谷に花を詠じ、榮花は先立つて無常の風に誘はるる

南楼の月を弄ぶ輩も 月に先立つて有為の雲にかくれり

人間五十年、化天[1][2]のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり

一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
------------------------------
https://www.youtube.com/watch?v=vpVuqB9EOGQ

2016年7月5日火曜日

君、過ぎし日に何をか為せし

君、過ぎし日に何をか為せし
君、今、ここにただ嘆く
語れや 君 そも若き折 何をか為せし
              ヴェルレーヌ

2016年6月6日月曜日

小津安二郎の『宗方姉妹』より、ドンキホーテの言葉 

『I Drink Upon Occasion Sometimes Upon No Occasion - Don Quixote』
「私は理由があって飲む。時には何の理由もなくて飲む」

2015年8月30日日曜日

昨日見し人今日はなし

昨日見し人今日はなし
今日見る人も明日はあらじ
明日とは知らぬ我なれど
今日は人こそかなしけれ

  (中世の今様)